大きなタモのテーブル
家具屋の五味です。
ここ最近は忙しかったのもあり季節を忘れ仕事に没頭しておりました。
いつの間にか春めいて桜の花が咲く季節になっていました。
昨日は久しぶりに平日休みを取り用事も兼ねてお花見をしてきました。
例年よりも花が長続きしている気がします。
9分咲きといったところでしょうか。春を満喫してきました。
さて3月に納品させて頂いた「大きなタモのテーブル」をご紹介します。
新規で設計事務所様から頂いたこちらのお仕事ですが
「大きな」とはどれくらいかと言うと、3600㎜×1350㎜という大きさです。
この大きさの板が入る家があるのかと思うところではありますが、
横浜の某会社様事務所に納品させて頂きました。
さすがに搬入と設置の都合上ハギの一枚板とはいきませんので
1800㎜の板2枚を現場でつないで3600㎜になる仕様となっております。
そして今回少し難しかった事があります。
何かと言いますと、長さ方向をつなげた時にハギ板の幅が
揃うようにとのご要望を頂きました。
自分にはこれが一番難しかったです。
その難しさはここでは割愛させて頂きますが、
同業種の家具屋さんがこれを聞いたらすごく大変だなと思う仕様だと思います。
ですが、チャレンジすることは悪い事では無いなと開き直り、
多少の苦労や緊張はしましたが無事に完成し納品することが出来ました。
工程順に行きますと、先ずは材料の使い方や大きさを決めて大まかに材料を削って製材する
木取りと呼ばれる作業です。
ここで木の木目や表情の出し方、悪い部分を落としたりと最重要となる作業です。
削りをして平面を出したり材料の形を整えます。
削り後に木目を合わせたり材料を入れ替えながらハギ方を決めます。
ここまでが木取りです。
次に板をハギます。ハギとはすなわち板と板を接ぐことを言います。
木取りで決めたとおりに接ぎ合わせます。
先ほども触れたとおりハギの通り幅を合わせなければならないので
作業としては難しかったです。
後に接いだ部分からハギ割れを起こさないように少し特別な技法でハギます。
ここまできたら後は目をつぶってても出来ます。
作業の重要度の80%はクリアしています。
残る作業はジョイント金具の加工と両面仕上げです
しかし、ここからは段取り勝負です。
通常では無い大きさの板で奥行きが1350㎜も有ると一人でひっくり返すことが出来ません。
昼間は1人での作業が多いので大工さんの帰ってくるのを待ったり朝大工さんが出かける前に声を掛けたりと実はここの気苦労が大変でもありました。
ご覧の通りハギ幅もぴったりと合わせました。
加工と仕上げを終え残るは塗装です。
今回はご希望に添い「オリオ2蜜蝋タイプ」に濃い目の色を調色しました。
いわゆるウレタンオイルと言うものです。ある程度の耐水性を持ちつつ
オイル感の良さも兼ね備えてなおかつワックスを掛けたようなスベスベな仕上がりの
オールインワンという感じですね。
無事に完成しました。木目が浮き上がるようでタモ材と色との相性がいい感じです。
納品はビルの中で少し重かったですがなんとか運び込みました。
今回テーブルの脚はリフォーム現場の大工さんが制作して下さいました。
もちろん綿密な打合せも行っておりますので据付もバッチリ予定通りです。
この広い事務所によく合う大きさです。
事務所の雰囲気を一発で決める存在感です。
ここに10人座るのだそうです。
据付も終わりこの仕事をやってて良かったって思える瞬間です。
奥の窓から海と船が見えての風景が絵画の様です。
お客様にもとても喜んでいただけました。
久しぶりに無垢を堪能しました。
五味